日本学術振興会特別研究員採用者のスコア開示請求
更新(2025 年 11 月 25 日)
現在は,日本学術振興会特別研究員採用者についても採用内定発表時にスコアを開示できるようになっています.したがって新規採択者は以下の内容を読む必要はありません.過年度の請求には使えると思うので記録としてしばらく残しておきます.
はじめに
ここでは日本学術振興会特別研究員(以下,学振)採用者のスコア開示請求手順について説明します.後の「なぜわざわざ開示請求するのか」の項目で詳細に書きますが,学振特別研究員に不採用となった際は申請書の評価や不採用者内でのおおよその順位が開示されるにもかかわらず,採用された場合は採用されたことしかわかりません.しかし,正しい手順を踏めば採用者であっても日本学術振興会にスコア開示請求できるという事実はあまり知られていないようです.この記事は X(旧 Twitter)に投稿された こちらの内容 を参考に,私自身(と友人)が実際にスコア開示請求した際の体験談を書きます.今後,学振特別研究員のスコア開示請求を考えている方や,東京理科大学での博士後期課程進学を考えている方の役に立てば幸いです.また,東京理科大学研究推進課が主催した「令和 7 年度採用分日本学術振興会特別研究員学内説明会」でもこの記事の内容と同様の講演をしています.
学振のスコア開示請求の仕方ですが、このURLから個人情報に係る様式の開示請求書をダウンロード&必要事項を記入して、①この書類②本人確認書類③住民署の写し、の3つの書類と300円(現金)を現金書留の封筒に入れて記載されてる住所に郵送で送りましょう!(1/3)https://t.co/OHP4hH9ivA
— ちゃ子(・D・) (@ChachamCo) December 26, 2023
そもそもなぜ電子申請システム上での採用者のスコア開示が行われないのかは私にはよくわかりませんが,きっと大人の事情があるのでしょう.もしかしたら今後制度が変わって採用者も採用と同時にスコアを確認できるようになるかもしれません.その日が来たらこの記事は不要ですね.
採用者の開示請求手順(写しの交付,つまり郵送での開示の場合)
X における上のポストを見て自分でできる人はここを読まなくてもいいと思います.ただ,実際に自分でやってみて思ったよりも面倒だったので(X と異なり)字数制限の無いこの場でまとめておくのがよいと思いました.ただし,以下の手順は 2023 年 2 月現在の情報です.
- 日本学術振興会ウェブページ「個人情報保護のご案内」にアクセス
- 「個人情報に係る様式」⇒「開示請求書」を記入
- 必要書類を郵送(現金を送るので現金書留の封筒に入れて郵送)
宛名:独立行政法人 日本学術振興会 個人情報保護室御中- 保有個人情報開示請求書(上記「開示請求書」)
- 住所はたぶん大学よりも自宅がよい(住民票を同封するため住民票の住所が無難?)
- 「開示を請求する保有個人情報」の書き方の例:
令和 6 年度採用分特別研究員(DC2)選考における評価(各評点結果,総合評価 T スコア)
受付番号:xxxxxxxxx
(受付番号が無いと電話がかかってくるらしい) - 開示方法を選択(窓口での閲覧 or 写しの交付)
- 住民票の写し(入手にもお金がかかる)
- 開示請求の前 30 日以内に作成されたもの
- マイナンバーの記載は不要.記載がある場合は黒塗り(黒塗りしないと電話がかかってくるらしい)
- 本人確認書類(運転免許証等)のコピー(マイナンバーカードの場合は表面のみコピー)
- 現金 300 円
- 保有個人情報開示請求書(上記「開示請求書」)
- レターパックで学振から開示決定通知が到着(書類提出から約 20 日で到着)
- 必要書類を郵送(現金は送らないので定形郵便でよい)
- 「保有個人情報の開示の実施方法等申出書」(レターパックに同封されている)
- 送付に要する費用 280 円(返信用切手)
- 特定記録で学振から開示結果が到着(申出書受理から 2 週間以内に発送⇒これは明記されている)

なぜわざわざ開示請求するのか
私が考える,採用者が(わざわざ)スコア開示請求するメリットは以下の通りです.
- 現時点での自分の執筆能力の確認
- 後輩へ情報を残す
- 自己満足
まず,1. の項目から説明します.「博士後期課程学生の奨学金事情」でも書いたように,私は学振特別研究員に申請し,不採用も採用も両方経験しています.学振特別研究員に不採用となった場合は学振の電子申請システム上で不採用者の中のおおよその順位を確認できます(不採用 A, B, C).また,自身の申請書の評点結果(複数の担当審査員による平均値)が三項目で表示されます.さらに,T スコアを使えば書面審査セット内の順位も算出可能なため,次年度の申請の際に大いに役立ちます.しかし,採用された場合は電子申請システム上で具体的な評価に関する内容は一切表示されません.学振 PD なども含め,申請者が今後研究者としてさまざまな申請書を書くことになるのであれば,その時点での研究者としての能力,申請書執筆能力が審査員にどのように評価されているのかを知ることは非常に重要です.採用されているとはいえ,全ての項目が総じて高い評価を得ているとも限りません.例えば「研究計画の着想およびオリジナリティ」の評価が他よりも低いのであれば,博士課程の期間に自身が伸ばすべき項目は研究に対してのオリジナリティということは一目瞭然ですよね.また,概ね自分の予想通りの点数であれば自分の能力に対してある程度妥当な評価ができていることになります.しかし,自分の予想と大きく異なっていた場合,自分の能力を過大評価もしくは過小評価している可能性があり,今後注意する必要があるでしょう.
次に 2. の項目について説明します.毎年数名博士課程に進学するような研究室であれば情報の蓄積は問題無いでしょう.しかし,そうでない場合は先輩たちの申請書やスコアなど,少しでも多くの情報があった方がいいです.不採用だった人の順位やスコアも重要ですが,採用された人がどれくらいの順位で採用されたのか(ぶっちぎり or 当落ギリギリ)という情報も重要です.また,採用された申請書であってもすべての内容が優れているわけではありません.過去の申請書がどの項目を高く評価され,どの項目を低く評価されたのかを知ることはよい申請書を書く第一歩です.
最後に 3. ですが,なんだかんだ言って自己満足も大きいと思います.いい点数を取れたら嬉しいのは,小学校のテストから変わらない感情ではないでしょうか.それが研究のモチベに繋がるかもしれません.ただし,高い点数を取れたからと驕り高ぶったり自身の能力に胡坐をかいたりするのはよい姿勢ではないので注意しましょう.